中公文庫コミックス版ついて
(水木杏子からのお詫び状)
1999年1月をもって、水木は旧中公版の<キャンディ・キャンディ>の契約を解除しました。
水木としても、おしゃれな装丁の<キャンディ>の文庫はとても気にいっていました。
また、<中公>が<新会社>に移行する大変な時に解除する事もためらわれました。
しかし、いがらしサイドが流す<虚偽>の噂が週刊誌に掲載されるに至ってもう黙認はできなくなったのです。
それは
<中公文庫>が発刊される際、水木が<配分率をあげろ>といってきていがらし氏を困惑させた、ということ。
そのようないがらし氏の主張は1998年、初秋にいがらし氏の代理人(山崎和義、熊隼人、両弁護士)を通してもありました。
その裁判所に提出された準備書面には、<いがらし氏と水木が1995年に交わした契約書>の問題と<中公文庫>を巧妙にくみあわせ、
<水木が<中公文庫>の契約の際、<配分をあげろ>といってきた為、困ったいがらしは、マンガジャパンの顧問弁護士に相談。水木の主張に押し切られる形で契約書を作成するに至った。>
と、半ば水木が<おどして>契約書を作ったかのような内容になっていました。
そのときも、これは<名誉毀損>だと、水木の代理人が行動を起こし<旧中公>から、
「そんな事実はない」
「配分はいがらし氏の申し出によるものです」
との書面をいただきました。
また、マンガジャパンの顧問弁護士からも
「そんないきさつで契約書を作ったのではないと記憶している」
との証言をいただいております。
……
事実を記すと、文庫化の申し出は<旧中公>と<講談社>、ほぼ同時期にあり水木としては、<版元>の講談社で出したい、と思っていました。
しかし、講談社で出版するといがらし氏がほかの出版社で出した漫画は文庫化になりません。<中公文庫>はいがらし氏のほかの漫画の文庫化も約束してくれたとのことでした。
いがらし氏に頼まれ、水木は不本意でしたが<旧中公>で文庫化する事を決めました。
たしかにその時6対4の印税が5対5になりましたが、それはいがらし氏の申し出によるものです。
(その後、水木原作の<ティム・ティム・サーカス>も文庫化されましたが、その時もいがらし氏の申し出で、印税は6対4に戻しました。)……
そのようないきさつでしたから、1998年初秋にいがらしサイドの事実と違う書面をみて、<旧中公>との契約を解除しよう…と思いましたが、<なにより漫画の本が出ていれば幸せ>という思いが水木の心の底にあったので、そのときは押えました。
それに、<旧中公>サイドに落ち度はなく、困らせたくなかったからです。
しかし、今回、さまざまなところから<中公文庫>におけるいがらしサイドの発言が聞こえてくるに至って、決心しなくてはならなくなりました。
多くのファンの気持ちを考えると苦しくなります。
創作者としての喜びは<本>が出ていて、みんなに読んでいただくこと…
そのわたしが<本>の契約の解除に踏み切った哀しみ…少しでもわかっていただけたらと、勝手ながら思っています。
自分の<名誉>は自分で守らなくてはなりません。
このまま<中公文庫>が続く限り、いがらしサイドは水木の名誉を傷つけつづけるでしょう…。
しかし、<名誉>が回復されれば、水木はいつでももとにもどるつもりでいます。
原作者のエゴをどうかお許しください。