小説版の復刊について

 

 

 

 

<小説キャンディ・キャンディ>が、みなさまのおかげで復刊されました。

“復刊ドットコム“への投票、そして、あたたかい励ましを受け、原作者冥利につきることと深く感謝しています。

けれど、決心しながらも何度も立ち止まり、<火中の栗を拾う覚悟>とまでいってくださった“ブッキング”の方たちを戸惑わせたりしました。<小説版>が実現したのもブッキングのみなさまの心ある対応のおかげです。

 

わたしが悩んだのは、なんといってもトラブルを避けたかったこと。そして、漫画の原作として書いた物語なのに・・・という未だに消え去らぬ切なさがあったのです。

 

漫画の原作を書くときの意気込みは、小説を書くときとまた、心構えが違いました。

なにより、よい漫画に描かれてほしい、と願いを込めます。原作の“読者”は担当編集者と漫画家のみ。とくに漫画家の気持ちが“物語”に取り込まれ、その世界に没入してほしいと(それが漫画としても成功する)そう思って書いてきたのです。

25年も前、小説版の話があったときも(漫画があるのにあえて小説など・・)と思っていました。2000枚余の原作を600枚ほどに縮めることに抵抗もありました。

ズボラなわたしは原作原稿もそろっていなくて、一から書かなくてはと困惑していたところ、漫画家がきちんと原作原稿を保管してくれていたことにとても感激したことを覚えています。

一巻、二巻は漫画に寄り添って書きましたが、三巻目はとても200枚では 収まらず<手紙>形式にしました。

漫画では描かれなかったところ、また、気になっていたことなどを補うのに<手紙>がいちばんいいと思いました。(それでも、まだ不十分で自分自身に不満は残りましたが)

 

13年ほど前に新書版で復刊されたときは、もしかして小説版を読みたいと思ってくださる成長した読者もいるかもしれない、という気持ちでした。そのときも(また、今回の小説版も)赤面したまま、顔を上げられないような文章の未熟さも含めて<書いた当時の想いや空気>を大切にしたいと思い、ほとんど手を加えませんでした。“そのまま”が当時の精一杯の“わたし“なのです。

 

今回の“ブッキング”での復刊は、さし絵は入りません。

文字だけの物語をほんとうに読者が望んでいるのか・・・それも不安でした。

けれど、考えに考えた末、復刊を望んでくれた方たちの気持ちを、そのままありがたく受け止めることにしたのです。

また、<かつての小説版>がネット上で身分不相応な値段で取引されていることも気になっていました。

 

そして・・・・

さし絵なしのブッキング版の小説こそ<絵と訣別した>というわたしのはっきりとした意志表明になるとも思いました。

 

今、小説版を手にして、やはり切ない気持ちもあります。

けれど、しみじみと感じるのは<物語世界>はどんなことにも侵されず、汚されないのだということです。(読者のみなさまの心の内もそうあってほしい、と勝手に願いながら・・・)

作品がヒットし、多くの人に愛されたこと・・・それは、作者たちにとって何ものにもかえがたい喜びです。

けれど、作中人物たちの“魂”は、世俗のどんなことにも変化などしない。いつも“生まれたままの姿”でそれぞれの読者の心の中に棲み続けるのだと思います。

 

<小説版>は、応援してくださったみなさまの力で生まれました。

本を手に取るたびに、わたしはそのことを思い出すでしょう。

 

尚、<印税>の全額は交流があった海外養子縁組などに取り組んでいらっしゃる養護施設<慈愛園>に寄付するつもりでおります。

後日、そのご報告もいたします。



 その後のご報告


平成15年12月、
<小説キャンディ・キャンディ>の印税の全額、275、500円を
熊本市神水の<慈愛園乳児・子供ホーム>に寄付させていただきました。

今のところ予定はうかがっていませんが、小説版が増刷された場合にはその使い道についてもご報告していきたいと思っています。

追記

小説版を出版した理由は、上記の通りです。
いがらし氏より内容証明が届きましたが、事件の経緯を省みられれば充分であると考え、お返事はしておりません。